リストランテのウェイトレス
ある日、うちの大家さんやご近所さんと皆で、レストランに食事しに行ったところ、
そこの店長さんに気に入られ、皆にも「ミルは、本当にイタリアが合っているわね!」
と褒められ、ノリでアルバイトをすることになりました。
アルバイトはディナータイムの18時から閉店まで。会話はもちろんイタリア語です。
まずテーブルセッティングして、ホールの掃除。その後、全員で並んで賄いを食べます。
その後は、お客様が来たら席の案内、オーダー、料理の提供、片付けなどをします。
日本でもウェイトレスのバイトをしたことがあるけど、明らかに違うのはお客様への言葉遣い。
日本では「お飲み物は、何になさいますか?」と丁寧に聞きますが、
イタリアでは「da bere(飲み物)?」だけ。なーんてシンプル!
オーダーを取るときも、日本では「そちらのお客様はいかがなさいますか?」
とか言いますが、
イタリアでは「Tu(あなた)?」だけ。
料理提供時、日本では「お待たせいたしました。ごゆっくりお召し上がりくださいませ。」
なーんて言いますが、イタリアでは「Prego!Buonapetito(どうぞ、楽しんで)!」
って感じです。
それから、お客様のオーダーも日本と異なります。
「私は、野菜の○○がダメなの。抜いて代わりに●●を入れてちょうだいね。」
とか
「オイルを少なめに作ってね。ダイエット中だからね。」
とか、メニュー表に書いていないことをあれやこれや言われます。
ついでに、日本人観光客のお客様が来られると、
『同じ日本人』という共通点だけで、安心してくださるようで、
肩をバシバシたたいて、「頑張ってね!」と励ましていただきました。
また、チップの習慣も体験しました。
それまではイタリアでチップは渡すものでしたが、もらうものになりました。
ただ、困ったことに、社長の5歳の息子が、珍しそうに私の後をチョコチョコついてきて、
初めは可愛かったんだけど、段々うっとおしくも感じてきました。
なぜなら、周りの大人は私のイタリア語の間違えを、適当に聞き流してくれるのだけど、
その少年は「○○だって!ひゃはははは〜〜〜〜!」
と大笑いするのです。「コンニャロ〜!」心の中で何度叫んだか分かりません。
給料は1週間に1度、社長の奥さんがレジからお金を抜いて払ってくれていました。
時給8000リラで、日本に比べるとかなり安いけど、イタリアの同年代の女の子たちに
聞くと、だいたい相場みたいでしたし、私の場合、勉強させてもらって、まかないまで
食べさせてもらってるのに、お金までもらえてけっこう楽しかったです。
アルバイトの帰りは、23時半過ぎ。バスと地下鉄を使って家に帰っていました。
いつも終電ギリギリ!飲み物やちょっとした食べ物を買いたいと思っても、
バールはほとんど閉まっていて、街灯も少なく怖かったです。
「日本のコンビニが欲しい!!!」と、強く思っていました。
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